一筋縄ではいかない欧州の不動産市場回復
マクロ経済を巡るリスク要因は過去数年にわたり市場の主要な懸念材料となってきましたが、足元でも引き続き注視されています。米国の政策運営を巡る不透明感やエネルギー価格の動向、高止まりする長期金利・借入コストの影響に加え、これまで底堅さを維持してきた欧州の労働市場が鈍化に転じるリスクにも関心が集まっています。このような環境下では、投資家の慎重な姿勢が続くなか、物件ごとのパフォーマンスや見通しの格差が拡大しており、資産選別の重要性が一段と高まっています。
要旨
市場見通し
- 外部環境に不透明感が残るものの、不動産市場内部のリスクは引き続き低水準にとどまっています。
- 金利および不動産価値の安定を背景に、新たな不動産サイクルが形成されつつあります。
- 高クオリティ物件の賃料は今後も上昇が見込まれる一方、開発採算性の低下により、新規供給は限定的になると思われます。
投資家への示唆
- 市場の変動性が再び高まるなか、強固な構造上のファンダメンタルズを有する地域やセクターへの投資の重要性が一段と高まっています。
- 開発活動の低迷とテナント需要の二極化を背景に、オフィス資産の選別がこれまで以上に重要になっています。
- 小売りセクターでは、引き続き食料品店を選好しています。食品は配送コストが高く利益率が低いため、オンライン販売との競争に対する耐性が比較的高く、長期的な底堅さを支える要因となっています。
- 物流については、賃料が上昇傾向にあることに加え、イールドスプレッドが拡大していることから、利回り低下により中期的にリターンを押し上げる可能性があります。
- 投資家は規制強化を懸念しているものの、実際には家賃の規制により入居者の定着率向上や収益の安定化につながり、投資パフォーマンスの変動を抑制する効果をもたらす可能性があります。
26-5825408